差し入れの飲み物で気付いたこと

大来月はもう夏休み。
毎年当店の駐車場でラジオ体操を実施しているので、ジュースの差し入れのため子供達の人数を聞いたところ、春のお楽しみ会の時より減っています。(震災前に比べると40人以上減ってはいるのですが。)アレレ?と思って体育部(という役職があります)のお母さんに聞いたところ、「震災後、単身で関東方面に仕事を探しに行っていたお父さん達が、ようやく正社員になれて家族を呼べる環境になったから、何人かは引っ越しちゃったんだよね」とのこと。「これからもっと増えるかも」、「貯蔵施設が建つ前に引っ越せれば」などの話も聞かれ、子供の市外流出は止まりません。

壁新聞の子供達は逆に口コミでメンバーが増えました! 小学1年生が6人になり、これはうるさくなるな〜とホイッスルを首からぶら下げて準備していたところ、拍子抜けするぐらいみんなとても静か。
そのまま安心していればいいものを、従来の小学生のイメージが抜け切らない私が訝しんでいると、やっぱり! 一年生の男の子が手を挙げて「トイレに行きたいです」と言うのです。行きたい時に行っていいよと手でトイレを指差したところ「ついて来て下さい」と私の腕を掴んで動きません。「誘うならトイレじゃないとこにしてよ〜」と冗談を返すと、6年生の男の子がすっと立ち上がって1年生をトイレに連れて行ったのです。私は何がどうなっているんだか分らず、暫しボー然。気を取り直して「他にトイレ行きたい子は〜?」と聞くと、1年生は揃って高学年生に付き添われ、トイレに向かいました。
「えぇ〜学校じゃ困るっしょ?!」と言うと、5年生の女の子が「一人で行動できない子には手をかしてあげなさいって先生が。時々いるよ、一人で体育館とか行けない子が。体育倉庫にいて地震にあったらアウトだよ。」
子供は単独行動が好きで、目を離すとすぐ何処かへ走って行ったり、隠れてみたりするものだと思っていた私は手を繋ぎ、俯いてトイレに行く子供達の後姿を見て、じわりと背中が寒くなりました。

その日に限って、おやつに用意したのはコーヒー牛乳。子供達はカフェイン効果で何度もトイレに行く始末…ごめんよみんな…

さっきの6年生の男の子が一言「みんなトイレばっか行って、うちのじいちゃんみてぇ」と。子供達の心がここまで深刻な状況になっていることに驚きつつ、次のおやつはファンタにしとくか、と気持ちの切り替えが炭酸のごとく軽い吉田でした。

来月は畑で子供達と地元のお年寄りの育てた芋掘りです。大騒ぎの様子をご報告できればと思います。


  りんごジュースご馳走様です!

松岡先生、りんごジュースありがとうございました!
夏期スクーリングのご準備でお忙しい中、お心遣いに感謝いたします。今月は壁新聞の子供達の活動が2回あるので早速いただきます。軽井沢の絵葉書も「松岡先生からだよ」といってみんなに読ませてあげたいです。

福島の特にいわきから双相地区にかけての森林や林道は、ほとんど人の手が入っておらず、すっかり密林になっているので、葉書の写真にあるきれいな三笠通りを見たら子供達はきっと驚くことでしょう。市で奨励している町ぐるみの清掃でも、側溝などの泥や伐採した木などは未だに回収してもらえません。処分施設がないためです。木のウロに放射能が溜まるので、梨やりんごの栽培農家は幹をまめに削っています。(エステに行った女性の足のようにツルツルです。)

昨日家に帰ると、庭で市の除染対策課の方が放射線量を測っていました。個人の家を行政が測定するのは、震災後なんとこれが初めてです!「植栽下が高いので後日除染に伺います」とのこと。後日っていつ?

線量の測定器はレンタルDVD屋さんで借りることができます。レジ前に置いてあり無料です。(これは世界中でいわきだけかも?)日本で第2位の面積を誇るいわき市ですが、DVDレンタル店は3店舗しかありません。しかもそのうち1店はマンガも貸しています! 仙台から来た友人が「昭和か!?」と衝撃を受けておりました。いわき市民はDVDやCD、時にはマンガと一緒に放射能測定器を借りていくのです。

先月、壁新聞の子供達は地元のボランティア団体の皆さんが栽培した綿で人形を作りました。放射能の影響で休耕している田畑を借りて綿を育てている団体です。震災時にお世話になった全国のボランティアの方々に送ったところ、その方々が各々の地元で種を植え、収穫した綿を再びいわきに送って下さったのです。その貴重な綿で子供達が人形を作りました。




人形のおなかの中には種を入れました。活動の終わりに「この人形を貰った誰かが、おなかの種を植えて育ててくれるといいね、ほい、それじゃまた来月」と話をシメたところ、子供達が真っ青になって棒立ちしています。「人形土に埋められちゃうの!?」説明が足りないようでした。「な〜に首シメられた鶏みてえになってんの。埋めんのは種だけだっぺよ」というボランティアのおばちゃんの言葉に顔色を取り戻した子供達。最後に書いた子供達の感想文は、全員一致で「安心しました」の一言が。


この綿畑の収穫を子供達に体験させたいとボランティアの方々と計画中ですが、なにぶん微妙な理由での休耕田なので調整中です。

今月22日から市内の小中学校でも一斉に内部被爆検査が開始されます。子ども達のかわいいスケジュール帳には、【かべしんぶん】【こども会】【じゅく】【じいちゃんち】の他に【ほうしゃせんのけんさ】と書かれていました。真っ白い入道雲を背にして、被爆検査に向かう子供達の夏休みがもうすぐ始まります。


<編集後記>
吉田さんのメールには以下のような新聞記事のファイルも含まれていました。福島の子供達のおかれた厳しい環境とは、放射線の問題だけではありません。

PDFデータ参照 ≫こちら

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