2012年10月
松岡 直美

 2011年3月11日の東日本大震災。その直後から、文化情報専攻12期生の吉田裕美さんは被災者支援を開始し、震災から1年7カ月を経過した現在も福島県いわき市の「ふるさと絆情報ステーション(イオンいわき店)」でいわき市と福島原発避難区域双葉郡の人々に向けた支援活動を続けておられる。特に心をくだいているのが地域の子供たちの心のケア。これを少しでもサポートしようと同窓会設立準備委員会は本年6月、「いわきの子供たちに本を送る」プロジェクトをスタートさせた。以来5カ月、在籍者・修了生だけでなく、広く研究科関係者から二百数十冊の幼児童書がいわきに届けられた。本だけではなく、玩具や文具、折り紙などの心づくしの品々も。このような「物」が子供たちの「心」のケアに確かに役立っていることは、「いわきの日々」メーリング書簡集をお読みいただければ明らかで、プロジェクトのスタートに関わった一人として心よりお礼申し上げる。
 そして今日10月27日、2012年オープン大学院/同窓会ホームページ開設の日に、このプロジェクトの意味について改めて確認させていただきたい。それは3.11とフクシマを共有し、共に生き続けるということに尽きる。子供たちのために本を送ると、吉田さんが「いわきの日々」を言葉と写真で綴り、送ってきてくださる。そこには、主要メディアの報道やインターネット上に溢れる情報とは異なる日常空間が広がっている。地域の子育てなど、ごく普通の人間の営みである筈なのだが、3.11以降、至難のこととなっている。それは程度の差こそあれ、今日の日本、そして明日の世界の「日常」であるのだが、我々の意識は、これを遠ざけつつあるようだ。フクシマをヒロシマやナガサキ、オキナワのように局地化し、風化させないために、「いわきの日々」を情報のネットワークによって常にオンにしておかなければならない。これは情報をもって社会にコミットする総合社会情報研究科の教育理念の遂行である。そのためにも、「いわきの日々」メーリング書簡集を読んでいただきたいのである。今後は、読むだけでなく積極的なレスポンスをいただけるよう、書簡集がより多くの方たちからのメール往来の場となるよう、掲載形態を改更していく予定である。引き続きのご理解とご支援をお願いしたい。

※書簡集の他、以下の文章もお読みいただきたい。
 ●電子マガジ48号
     ……「修了生記念講話―学ぶことを伝える使命―」
 ●電子マガジ49号 gssc.alumni同窓会コラム
     ……「いわきの子供たちに本を送る」プロジェクト報告
 ●電子マガジ50号 gssc.alum同窓会コラム
   「いわき訪問」(2012年12月1日発行予定)
   ●「被災地の現在を伝える東日本大震災復興支援レポート:
     日本の復興をいわきから」
    (渡辺敬夫いわき市長(日本大学法学部卒)インタビュー
     日本大学広報『福島民友』2012年10月19日他掲載)

※海外の視点
Dower, John W. Ways of Forgetting, Ways of Remembering: Japan in the Modern World. 2012.
McNeill, David and Lucy Birmingham. Strong in the Rain: Sruviving Japan’s Earthquake, Tsunami, and Fukushima Nuclear Disaster. 2012.

※関連イベント(詳細は追って掲載)
2012年度国際文化表現学会東京研究会「原子力と文化表象」シンポジム
日時:2012年12月8日(土)
会場:日本大学文理学部
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